バドミントンの誤った価値観?
マイナースポーツでまだ認知度の低いバドミントン。
私は高校時代バドミントン部に入部し、価値観をガラッと変えられた。
私が主として行っていたのは、1vs1で行う「シングルス」というものである。
今回はそのシングルスでのバドミントンについて話していく。
バドミントンは、一般的に未経験者の皆さんが想像されるもの、試合を実際に見て感じるもの、そしてバドミントンという競技を実際にプレーすることによって考え方が変わってくるのだ。
では、段階を踏んで考え方の誤りを解説していこう。
~想像~
一般的に想像されるバドミントンは羽根つきのような、ゆったりとしたラリーの様なものだろうか。しかし実際のバドミントンはまるで違う。男子トップレベルの選手のスマッシュのスピードは、優に初速300キロを超える。
野球でも160キロのボールを投げれば怪物、化け物といった表現をされるだろうが、その2倍ほどものスピードが短いコート内に突き刺さるのだ。
バドミントンは世界最速の球技とも呼ばれる、とてもスピーディーなスポーツである。
~見る~
テレビ中継などはほとんど行われていないので試合を見るという機会はほとんど無いだろう。そこで、動画サイトには多くの過去の試合が挙げられているので、そちらを見てもらいたい。
実際の試合というものを見ると、上の想像についての解説で挙げた通り「速い!」と驚くのではないだろうか。皆さんの目に映るのは、球が高速でコート内を行き来する「攻撃vs攻撃」の乱打戦であるだろう。しかしこの考えも、実際にプレーするとそうとも言いきれないのだ。
~実践~
実践については遊びで軽く行う程度では考えは生まれないので、高校時代バドミントンに本気で取り組んだ私の目線で解説していこう。
一見「攻撃vs攻撃」にしか見えないバドミントンというスポーツ。
だが私はそれを否定する。
それはなぜか。
ここで問題。
試合で点を取られる場面。相手の流れが出来てしまう場面は次の2択のどちらだろう。
1つ目、相手のスマッシュがコート内にズバッと決められてしまう。
2つ目、球(シャトル)がネットにかかる、コート外に出るなどの自分のミス。
実際に経験した側から言えば、これは断然2択目なのである。
ここで注目する選手は佐藤翔治選手。
彼の試合を見て注目してもらいたいのは、ラリーの長さである。
長いラリーを続けることにより、相手選手の考えも探ることができ、いくらかスマッシュを打たせることが出来れば、スマッシュは体の動きをフルに使うため、体力の消耗が大きいのである。
また、そのうちに相手が疲労よりネットにかけてくれたら1点。また、甘い球をあげてくれれば、ここでようやく決め手のスマッシュで1点をもぎ取れるのである。
バドミントンは1打1打に攻めと守り、そして心理戦を組み入れて試合展開を広げる奥深いスポーツなのだ。
現在、日本のエースと言われるのは田児賢一選手。
実際に彼の試合を見てもらいたいのだが、常に彼が攻めているように見える。しかし、これは田児選手の1打に守りも組まれているのである。
攻めながら守る。どういうことか。
彼は常に相手にネットよりはるかに低い位置で球を取らせている。これにより、相手は攻めの球、つまりは上から叩き付ける速い球を打つことが出来ないのである。
よって、点を取らせず、点を取りに行くのが可能なのである。
紹介した両選手の行う試合展開は、一見対照的にも見えるが、むやみやたらに攻めるのではなく、自分に優位な状態に持ち込み、ここぞという時に攻めきる。
そういった面では同じ勝ち方をしていると言える。
これがバドミントンの必勝法であると私は思う。
今後バドミントンの試合を見るときは、単にスマッシュが速い!よく取った!という見方だけでなく、ぜひラリーや、攻めながらの守りというものに注目して見てもらいたい。
この試合展開で垣間見える心理戦こそがバドミントンの最大の魅力なのだ。
バドミントンは簡易なスポーツに思われがちだが、実は物凄く奥深く、知的で、エキサイティングなスポーツなのである。
経済学部3年 上杉 将司