産業・地域・環境保護交流協会 (MCOS)
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【西部大開発プロジェクト】   
 
1、紹介
 
 中国は広大な領土を抱え、地形、水量、気候などの自然環境、人口分布など基本的に大きな差異が見られる。そうした中で毛沢東時代は、都市と農村、労働者と農民、精神労働と肉体労働の格差の撤廃が課題とされた。ケ小平時代は、1992年にケ小平が「南巡講話」を行って以降、全国の地方で改革・開放熱が高まり、国外からの投資熱も高まった。ケ小平 の「先富論」においては、将来的には“先富後来”、すなわち沿岸部の経済発展が優先され、内陸部 を後から引き上げることを求めていた。

 しかし、90年代の東部地域の急速な経済成長の過程で、東部と中西部の経済格差は大きく拡大 し、格差是正は自動的な調整では困難になったのである。99年の全国GDPでは、東部60%、 中部30%、西部10%の割合となっており (☆下の図)、1人あたりの所得水準では、西部を1とすれば、東部は10以上という格差がある。

 

 
 

 

 このような経済格差の拡大が、社会不安となり持続的な経済成長の妨げとなるという懸念から、94年以降、江沢民政権は、「経済発展」と「格差の拡大」のジレンマの中で、「政治安定を最優先して経済発展の環境を保障することを最大の特徴としてきた」のである。(※2000年にも、14%の国土の東部が60%のGDPを生産し、57%の国土の西部はわずか14%のGDPしかすぎず)

 1999年6月、江沢民は、西部の開発について経済のみならず「重大な政治的、社会的意義を兼ね備えている。」と指摘した。西部大開発プロジェクトは、2001年3月の第10次五ヵ年計画(20012005)に盛り込まれたものである。

 2001年3月、「国民経済と社会発展の第十次五カ年計画」では、第九次五カ年計画期における地域間の収入格差問題を指摘され、中国政府は、2001年から2005年を「極めて重要な時期」と位置づけ、内陸部のインフラ整備を進める「西部大開発」を「5年ないし10年間で飛躍的な進展をとげるようにする」と表明したのである。

 

 
2、取り組み
 
 西部大開発のような中長期的なプロジェクトにおいては、政府を主要なアクターとして、非政府レベルでの環境、エネルギー開発、インフラ整備といったプロジェクトを促進する基盤となる体制を作ることが望ましい。 経済、エネルギー、環境など、問題は複合的で重層的なものとなっている。環境、エネルギーなど、幅広い分野での協力 (※右の表)が必要となる。 

 さらに中国政府は、西部大開発計画において、日本、および韓国からの積極的な投資を望んでいる。より経済的結びつきの規模の大きい日中間では、西部への投資環境の整備を補助することは、将来的な市場の確保といった面で、両国にとって大きな利益となる可能性が高い。

 2年連続で開催された西部開発セミナーには世界の有名企業や大企業など500社以上も参加し、その中にはAPECメンバーの企業も多数含まれている。

 

その1、驚きの効果

 2003年、西部開発において新たに着工した14件のプロジェクトの総投資額は1300億元を越えた。

 世界トップ500企業中100社近くが同プロジェクトに投資した。昨年の西部地域におけるGDP成長率は前年同期比10.7%増、固定資産投資額は同40.8%増となり、2000年からの高成長を維持している。

 西部大開発戦略の実施以来、青蔵(青海−チベット)鉄道、「西気東輸(西のガスを東に送る)」、「西電東送(西の電力を東へ送る)」などの重点プロジェクトを全面的に着工してきたと発表。

 さらに、2001から過去3年で着工したプロジェクトは36件、投資規模は6000億元以上、2002年末までにすでに2000億元を投入している。そして、外資投入額は75億ドルに達している。

 今年上半期(1-6月)の西部地域におけるGDP(域内総生産)成長率は前年同期比10.7%増、固定資産投資額は同40.8%増となり、2000年からの高成長を維持している。

 昨年の同地域の貿易総額は前年比22.3%増。都市住民の可処分所得と農民の純収入も程度は異なるものの、それぞれ増加傾向にあるという。

 
その2、今後最も注目される投資分野

 2002年2月、『指導外資投資方向規定』(国務院令第346号)公布された。主要の目的とは、西部大開発戦略をより実際に実施させ、より多く外資系企業からの技術・設備を西部地区へ導入するため に実施したものである。従って減税免税や中国国内銀行からの融資など可能である。(※分野によって異なる)

 詳しい内容は各地域の ページへ

四川省 青海省 広西チワン族自治区
貴州省 雲南省 新疆ウイグル自治区
甘粛省 重慶直轄市 内モンゴル自治区
陝西省 チベット自治区 寧夏回族自治区

 

 
投資分野
交通、通信、水利、発電、都市基盤整備
石油、天然ガス、鉱産資源の開発
サービス、商業
環境保護にかかわる産業育成
(※国家発展計画委員会による)
 

ーーーーー【最近の動き】ーーーーー

200276日、西部大開発プロジェクトの10大重点プロジェクトの1つ、蘭州−成都・重慶間石油パイプライン敷設工事がこのほど全線完成。全長1249.9kmで、甘粛、陝西、四川、重慶の20県(市)、区を通る。総工費は40億元近く、年間の輸送能力は500万トン。

▼2002617日、西部大開発高級フォーラム(〜19日、西安。)梁定邦中国証券監督管理委員会主席顧問、李若谷中国人民銀行総裁補佐も参加。

▼2002522日、江沢民主席、四川省で党建設と西部大開発を調査研究。

▼2004年1月1〜4日、黄菊副首相が西部大開発について貴州省を視察した。

▼2004年3月26日、寧夏回族自治区中衛市。西部大開発のシンボル的プロジェクトの一つである「黄河沙坡頭水利センター(ダム)」の最初の発電機が稼動。

▼2004年4月9〜13日、胡錦濤総書記が陝西省で西部大開発や三農問題の解決などについて視察。

▼2004年7月7日、西南6省1市(チベット、四川、雲南、貴州、広西、重慶、成都)経済協調会19回会議で、西部大開発の重点分野について協議を行い、協力を進めていく。