Material Cycle Oriented Society 環境技術で地球を守ろう!

産業・地域・環境保護交流協会(MCOS)

 
 
 
大気汚染 水質汚濁
大気汚染
 
【概要】工業生産の急速な拡大、経済発展に伴う消費の活発化により、廃棄物による汚染が深刻化している。その中でも特に大気汚染が深刻 な問題である。 一つ“大気汚染”といっても、硫黄酸化物や窒素酸化物やばい煙や総浮遊粒子状物質及び降下煤塵など様々な原因と考えられる。    
 
1、大気汚染物質の概況
 
硫黄酸化物
 
 ソックスともよばれ、二酸化硫黄(SO2)と三酸化硫黄(SO3)を指す。石炭や石油には0.3%〜0.5%の硫黄が含まれているので、その燃焼によって多量のSOxが排出される。大気中のSOx濃度が0.1〜0.2ppm(1ppm=百万分の1=10-4%)に達すると呼吸器系の異常があらわれ、生命も危険になるといわれている。さらに、大気中のSO2とSO3は水に溶けて、それぞれ亜硫黄(H2SO3)と硫酸(H2SO4)になり、酸性雨の原因物質となる。

 中国は世界第3位のエネルギー消費国である。一次エネルギー源の76%が石炭であるため、石炭を燃焼する際に大量に硫黄酸化物が放出される。

 主な都市の硫黄酸化物濃度は、体積濃度に換算して30ppb(1ppb=10億分の1=10-7%)程度で日本の平均の約3倍ともいわれている。その原因の90%は石炭の燃焼に起因するものと考えられている。工場からの排出が大きな割合を占めているが、民生用石炭の消費も無視することはできない。

 2001年全国排出量が1947.8万トンで、工業よるものが1566.6万トン、生活よるものが381.2万トン。西部は約33%占めている 。

 
 
西部地域の排出量を1993年と2001年とを比べてみる と・・・
 
 ▼合計してみると1993年は579万トン だが、2001年は647万トンに達した。
 ▼貴州での排出量は、1993年と比べると約2倍も増えた。環境への影響の深刻化は十分考えられる。

(※『中国環境年鑑2002年』よる。注:重慶は1997年「直轄市」になるまでは四川省に属する

 
窒素酸化物
 
 ノックスともようばれ、一酸化窒素(NO)と二酸化窒素(NO2)を指す。主な発生源は石油燃料の燃焼である。雷の放電や微生物からも交通機関に匹敵する量のNOxが放出されていると推定される。発生したNOは大気中の酸素と反応して一部がNO2に変わる。NO2は人体に取り込まれると亜硝酸イオンや硝酸イオンとなり、呼吸器に障害を与える。NO2は酸性雨や光化学スモッグの一因である。(※スモッグ…都会や工業地帯からの汚染物質でよごれた霧。現在では霧がなくても、広く都市や工業地帯をおおう汚染物質に対していわれている。)    環境中の窒素酸化物濃度は全国平均で20ppb(1ppb=10億分の1=10-7%)以上であり、日本に比べてかなり高い値である。都市部では自動車交通量の増大のため道路沿線で高い濃度が記録されている。窒素酸化物の起源は、原料中の窒素というよりむしろ高温燃焼による空気中の窒素が酸化されることによるもので、現象的には日本と大差ないという。

 国有の大手化学工場では硝酸を生産しているが、設備が古いことや昔のままの化学反応を用いているために工程から漏れる窒素酸化物の量が多く、大気汚染の原因となる。

 
ばい煙と煤塵(煤塵総浮遊粒子状物質)
 
【ばい煙】 燃料を燃やしたときに出るすすと煙。多くは燃料が不完全燃焼したとき発生する炭素やタール分などが浮遊しているもの。
【ばい塵】 ばい工場の排煙や、石切り場、炭坑などの塵埃の中に含まれている細かい粒状のもの。
 
 中国では、粒径が100ミクロン以下のものを総浮遊粒子状物質(TSP)、一方、日本では10ミクロン以下の粒子状物質を浮遊粒子状物質(SPM)と定義している。従って、両者の値を直接比較することはできないが、一般にTSPはSPMより高い値を示すことに注意する必要である。※ミクロンとは1mmの千分の一、10-7m。)

 主な発生源は工場からの排煙である。また、家庭から排出される廃棄物に石炭灰があり、収拾・運搬・処分・の管理が不十分であり、道路上に放置されたり、たとえ収拾されたとしても運搬する際に飛散するケースが少なくない。これらは、強風や車両によって巻き上げられてしまうのも考えられる。

 2001年全国ばい煙の排出量が990.6万トン。

 2001年全国煤塵 の排出量が1059.1万トンで、工業よるものが841.2万トン、生活よるものが217.9万トン。西部は約34%占めている。

 
 
西部地域の排出量を1993年と2001年とを比べてみる と・・・
 
  ▼1993年の合計は394万トンだが、2001年は362万トンに減少した。

(※『中国環境年鑑2002年』よる。注:重慶は1997年「直轄市」になるまでは四川省に属する)

 
酸性雨問題
 

 硫酸や硝酸を含んだ強い酸性(pH<水素イオン指数>5.6以下)の雨が降る現象。広義には酸性霧・雪などの湿性沈着および乾性沈着を含む酸性降下物全体を指す。工場や自動車から排出される硫黄酸化物(SOx)、窒素酸化物(NOx)が長時間、長距離漂ううちに酸化が進み、雨などに含まれて降る。

 2002年、全国274都市の観測結果によれば、降水中のpH値が4.2〜8.0の間および5.6以下が101都市(36.9%)である。酸性雨が発生した都市が161(58.8%)も占めている。

 
中国のみならず、日韓が協力して西部大開発に取り組む上で、環境、エネルギー問題にも配慮すべきである。西部地域は酸性雨の原因となるNOxSOxの排出源地域であり、環境面からも日韓にも直接的な影響を及ぼす。

 東アジア地域においても経済発展に伴いSOxやNOxの排出量が増大し、酸性雨問題が浮上。このため、日本、中国、韓国、インドネシアなど12ヶ国の参加のもと、東アジア酸性雨モニタリングネットワークが2001年1月から本格的にスタートした。

 
            プラザ広場 MCOSとは お問合せ ホームへ