産業・地域・環境保護交流協会 (MCOS)
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【長江三峡ダムプロジェクト】   
 
1、紹介
 
 長江が四川盆地から長江中流平野に流れでる所には、南北に巫山山脈が走っている。そこに深い峡谷が作られ、上流から瞿糖峡、巫峡、西陵峡の3つの峡谷のことを“三峡”と呼ばれる。

 昔から、三峡下りは長江観光の最大の目玉になり、白帝城や鬼の城など数多くの名所がある。

 1992年の全国人民代表大会の会議で長江三峡ダムプロジェクトが承認され、94年12月着工した。2009年完工される予定である。


 三斗坪に作られる堰堤は長さ1987m、幅185m、最大堤高175m、出現する貯水池は平常時で海抜水位175m、水位差110m余り、貯水量393億m3、面積は1083km2(うち新たな水没面積652km2)で、貯水は堰堤から約600km上流に達する。発電機は26台設置され、総容量1820kW、年間発電量847億kW時が予定されている。

 総投資額は1500億元に上回ると見込まれ、113万人の住民が移転させられた。ダムの高さ175m、ダムの上流600kmにわたって湖面ができるという。

 現在世界最大のダムであり、発電、洪水調節、水運、養殖、水資源供給などの多機能を持った超大プロジェクトである。さらにエネルギー問題の解決も目指している。

 三峡ダム完成後、長江の水上交通では、1万トン級の船舶の航行ができるという。 

 
反対派  

 @過大な投資規模や国防上の不利など。

 A沈泥、下流の土壌劣化、自然文化遺産の水没、景観の変化、カワイルカなどの生物種の絶滅など生態系への影響。

 様々な角度からの反対論もあった。さらに国内だけではなく、外国からも厳しい指摘された。

環境現状  

 汚水処理施設の不足のため、生活汚水処理率が10%にも満たない。

 さらに、生活ごみ、産業廃棄物がサイト沿岸に不法放棄されたり、また他の支流からの生活ごみや汚水など処理の遅れている。

 2000年三峡ダムサイトでは、廃水排出量が44.1億トン(産業は23.4億トン、生活は20.7億トン)。このうち、COD排出総量は135.6万トン(産業は68.4億トン、生活は67.2万トン)。産業固形廃棄物排出量が977.8万トン、生活ごみ産出量が668.6万トン。

 

   

 

2、最新の動き

▼2002年11月三峡ダムの2期工事が完成した。(湖北省)宜昌市で工事中の三峡ダム建設現場で11月6日、2期工事の左岸堤防建設が完成し、長江を全面的にせき止めた。堤防は長さ1983m、高さ185m。同ダムの全面完成は2009年の予定。

▼重慶市の甘宇平副市長によると、三峡ダム建設に伴い01年は11万人の住民を移転させたが、02年は10万人の予定。

20021015日、総設備容量が長江三峡ダム発電所を60kW上回る渓洛渡、向家壩の2つの超大型発電所建設案がこのほど国務院から正式に承認される。中国最大の水力発電基地となった。

▼2003年2月7日、三峡ダム建設工事で、02年末までに住民65万人が移転、今後6年間でさらに38万人が移転の予定。

▼2003年4月27日、国務院長江山峡第2期住民移動プロジェクト最終検定委員会で、最終検定結果を発表した。34万7520人の移転が完了。

▼2003年6月1日、三峡ダムの貯水を開始。長江の輸送能力は約5倍増大、輸送コストは35%低減する見通し。

▼2003年7月10日、三峡ダムで初の発電機2号機が計画を20日繰り上げて発電を開始。一日当たり約1290万kW時の電力を華中電力網と華東電力網に送る。

▼2004年3月、三峡ダム地区からの移住者が82万人に達した。

▼2004年7月、三峡ダム発電所稼動1年。現在出力70万kWの大型発電機8基が稼動しており、発電設備容量が560万kWに達し、発電能力は全国1位。


▼2003年10月、6月10日に三峡ダムが通行可能になってからの事故は、本体(湖北省宜昌市)上流の重慶市のダム湖部分だけで19件。7隻が沈没し、56人が死亡。長江管理当局が安全確保のため、セメント船・木造船など10種類の船舶の通行を禁止した。