【石炭】せきたん

 

 地中に埋もれた植物が長い年月の間に地圧や地熱の影響で変質して生じた、可燃性の堆積(たいせき)岩。高分子有機化合物を主とする混合物で、炭素・水素・酸素のほかに少量の硫黄・窒素・燐などを含有する。褐色、または黒色で、炭化の進んだものは金属光沢を有する。層状で、ときに砂岩や頁(けつ)岩と交互に層をなして存在する。石炭化の程度によって泥炭・褐炭・瀝青(れきせい)炭・無煙炭に分類する。古生代に堆積したものが多いが、日本のものは、ほとんど新生代第三紀のもの。《季・冬》

▼せきたん‐えきか(‥エキクヮ)【石炭液化】 石炭を原料として石油類似の液体炭化水素を得る方法。石炭を高圧で熱分解し、水素を添加して得る方法などがある。
▼せきたん‐かがく(‥クヮガク)【石炭化学】 石炭の成因・性質・構造・反応などを化学的に研究する学問。広義には、石炭化学工業を含む。
▼せきたん‐ガス【石炭瓦斯】 石炭の高温乾留によって得られるガス。水素・メタン・一酸化炭素などが主成分。現在ではほとんどがコークス炉によって生産されている。
▼せきたん‐がら【石炭殻】 石炭を燃やした後に出るかす。石炭の燃えがら。アス。
▼せきたん‐かんりゅう(‥カンリウ)【石炭乾留】 石炭を、空気を断って加熱分解すること。乾留によって石炭ガス、コールタール、ガス液、コークスに分かれる。
▼せきたん‐き【石炭紀】 地質時代の時代区分。古生代の第五番目の時代。ヨーロッパではこの時代の地層中に多くの石炭を含むので、この名がある。後に石炭となる鱗木(りんぼく)・蘆木(ろぼく)などの大きなシダ植物が繁茂し、動物では両生類が繁栄した時代で、また爬虫類(はちゅう)・昆虫類も出現した。
▼せきたん‐けい【石炭系】 石炭紀に堆積(たいせき)した地層。
▼せきたん‐さん【石炭酸】 =フェノール
▼せきたんさん‐じゅし【石炭酸樹脂】 =フェノールじゅし(―樹脂)
▼せきたん‐タール【石炭タール】 =コールタール
▼せきたん‐ゆ【石炭油】 =せきゆ(石油)
 
【国語大辞典】