コバルト(ドイツKobalt 英cobalt)
 

  @鉄族元素の一つ。元素記号 Co 原子番号27。原子量58.93320。灰白色、光沢のある金属。1735年、スウェーデンのブラントが発見。スマルタイト、輝コバルト鉱、コバルト華、ゴス土などに含まれる。鋼よりも堅い強磁性体。高速度鋼、超合金、耐熱・耐食・耐摩耗性などにすぐれる各種合金の合金元素、磁性材料の添加物、合金の結合剤などに用いるほか、ガラス、陶磁器の青色着色顔料などにも用いられる。
  A特に、悪性腫瘍(しゅよう)の治療に用いられる放射性同位体コバルト60 (60Co) のこと。

▼コバルト‐いろ【コバルト色】 コバルト2の色。空色。
▼コバルト‐か(‥クヮ)【コバルト華】 コバルトの鉱物。組成 Co3(AsO4)2・8H2O 透明または半透明で、深紅色、桃色、灰白色などのガラス光沢を有する単斜晶系の結晶。輝コバルト鉱が風化、分解したもので、鉱石の割れ目などに薄膜状、粉末状となって産出する。
▼コバルト‐ガラス【コバルト硝子】 (英cobalt glass)着色剤にコバルトを用いた青色の色ガラス。装飾品、光学フィルター、高温作業用の保護眼鏡などに用いられる。コバルト‐グリーン(英cobalt green)酸化コバルトと酸化亜鉛からなる緑色顔料。また、その色。絵の具、パステルなどに用いられる。
▼コバルト‐ばくだん【コバルト爆弾】 原子爆弾、水素爆弾の外側をコバルトで包んだ爆弾。核爆発によってコバルト六〇ができ、長期にわたって強い放射能が残る。
▼コバルト‐ブルー (英cobalt blue)酸化コバルトと酸化アルミニウムからなる青色顔料。また、その色。絵の具、陶磁器や合成樹脂の着色剤などに用いられる。
▼コバルト‐ろくじゅう(‥ロクジフ)【コバルト60】 コバルトの人工放射性同位体。記号 60Co 質量数60。天然のコバルト(質量数59)に中性子を吸収させて作る。半減期(五・二年)が手ごろで、しかもラジウムより強いγ線を放射するのでγ線源として理化学、医学に広く用いられる。
 
【国語大辞典】より