シアン(オランダcyaan)

 

〈シヤン〉
 1 炭素と窒素の化合物。化学式 C2N2 特有の刺激臭をもつ無色の気体。空気中で高温の紫煙をあげて燃える。猛毒。青素。蓚酸(しゅうさん)ジニトリル。
 2 一価の置換基CN-のこと。シアノ。

▼シアンか(‥クヮ)【シアン化】化合物にシアン基を置換導入する化学反応。
▼シアンか‐カリウム(シアンクヮ‥)【シアン化カリウム】 カリウムのシアン化物。化学式 KCN 無色、等軸晶系の塊状または粉末。潮解性をもち、水に溶けて加水分解する。きわめて猛毒。銀・銅の電気めっき、湿板写真の定着、分析試薬などに用いる。青酸カリ。青酸カリウム。青化カリウム。
▼シアンか‐ぎん(シアンクヮ‥)【シアン化銀】 銀のシアン化物。化学式 AgCN 白色または灰色で無臭の結晶。硝酸銀の冷飽和溶液にシアン化カリウムの濃溶液を加え、生じた沈澱を濃アンモニア水から再結晶して得られる。銀めっきに用いられる。
▼シアンか‐すいそ(シアンクヮ‥)【シアン化水素】 水素のシアン化物。化学式 HCN 特有の臭気をもつ無色の液体。梅の実などにアミグダリンなどの配糖体として広く存在。猛毒。アルデヒド・ニトリル・アクリル酸などの有機合成や、殺虫剤などに用いる。青化水素。蟻酸ニトリル。ホルモニトリル。
▼シアンか‐ナトリウム(シアンクヮ‥)【シアン化ナトリウム】 ナトリウムのシアン化物。化学式 NaCN 等軸晶系の無色の結晶。猛毒。鋼の焼入れ、金・銀の冶金、有機合成の中間体の製造、シアン化物・シアノ錯塩の製造、農薬などに広く用いられる。青酸ナトリウム。青酸ソーダ。青化ナトリウム。青化ソーダ。
▼シアンか‐ぶつ(シアンクヮ‥)【シアン化物】 シアン基CNを含む化合物の総称。ふつう、金属のシアン化物をいう。一般に強い毒性を持つ。青化物。
 
【国語大辞典】